イブだねぇ〜。

夜勤を終え、朝9時。自転車で自宅まで35分もかかる道のりを寒さに身を震わせながら走る。途中でお腹が減り、適当な喫茶店でモーニングセットを注文。店内には初老の男女と、競馬新聞を広げるおっさんの4人組と、毛布を肩に羽織ったおばさんが一人。ヤバイ店に迷い込んだと一瞬で気付いた。
しばらくするとモーニングセットのコーヒーが運ばれてきた。運んできたのは店のマスターらしき男。男の仕草がMR.ビーンに似ていて気持ち悪い。コーヒーを飲んだ。「ん?」何かに似ている。そうだ、この味はマクドナルドのコーヒーだ。う〜ん・・・MR.ビーン似の店長が食事を運んできた。一つの皿にトーストとサラダとスパゲッティとオムレツとグラタンが乗っている。焼き目のないトーストにはサラダのドレッシングが染みこみ、スパゲッティにはオムレツのケチャップがつき、グラタンは「チン」しすぎで原形をとどめていなかった・・・どれもこれもマズかった。
やがて、客である初老の男女の口論が始まった。しかし、MR.ビーン店長は相変わらず気持ち悪く動き回る。競馬新聞を読みふける男達の仲間がまた1人、店に入ってきた。5人でテーブルを囲み競馬新聞を読み出す。「このオッズじゃなぁ」「よし!」などと言っている。初老の男女の口論は激しさを増す・・・「逃げなきゃ!」と、僕の中の危険信号が叫んだ。わずか3分でモーニングセットをたいらげ、そそくさと店を出た。冷たい風が頬を突き刺した。「二度と来ることはない」と心でつぶやいた。