よくできた一日

朝方、夜勤からの帰り、タバコを切らし、自販機まで自転車を走らせた。途中、ライターを職場に忘れていたことに気付き、ライターを買うか否か迷ったが家に帰るまで我慢することにした。自販機の前で作業着姿のおっちゃんがタバコを買っていた。順番を待った。「ガタン」タバコの落ちる音。おっちゃんが受け口からタバコを取り立ち去る。しばらくしてもう一度「ガタン」。音がした。立ち去るおっちゃんを横目にタバコを買った。「ガタン」。受け口からタバコを取り出す。ハテ？もう一箱ある。取り出してみると作業着のおっちゃんが買ったタバコに付いてきたキャンペーン中のライターだった。もちろん拝借する。小さな奇跡。欲しかった物が直後に予想もしなかったカタチで手に入る。ちょっとだけテンションが上がった。
ＡＭ10：00。家に帰り、しばし眠った。
目覚めて、久々に熱い味噌汁を飲んだ。疲れた身体にしみわたる。
夕方。自転車で走っていると、小学生が木製バットをマイク代わりに「俺は最強〜！オ〜イエ〜！ベイベ〜！」と歌っていた。「カモ〜ン！オ〜イエ〜！」とも叫んでいた。ノリノリだ。まだ何も知らないであろう子供が言う「俺は最強」という言葉は間違っていない。そのうちこの子供も何かしらの壁にぶつかるだろう。だが、今、この子は最強なのだ。この子の世界では最強なのだ。なんだか、僕もノリノリになる。
やたらと綺麗な秋の夕暮れ空を見上げ、タバコに火を付けた。もちろん今朝手に入れたライターで。